AIによるイラスト生成では、プロンプトに含める「画風タグ」が作品の方向性を決定づける非常に重要な要素です。構図やキャラクターの表情をいくら丁寧に指定しても、全体の仕上がりが思い通りにならない…そんなときに画風タグが果たす役割は非常に大きいと感じます。
例えば、「anime screencap」というタグを入れると、アニメの一場面のような柔らかい線と平面的な影が再現されます。キャラクターはやや簡略化された表情を持ち、背景も簡素ながら色合いに統一感がある出力になりやすいです。逆に「game cg」を使うと、商業ゲームのような陰影の強い、グラデーションを多用したリアル寄りのイラストが出力される傾向があります。
こうした画風タグは、単なる見た目の変化だけではなく、構図やキャラクター配置、光の当たり方にまで影響を及ぼします。たとえば「watercolor painting」は淡くにじんだ輪郭と優しい色調をもたらし、幻想的で詩的なイラストに適しています。「pixel art」や「manga panel」などは線画やドットのスタイルに変換され、出力結果がまったく異なるジャンルに変貌します。
重要なのは、これらのタグを「テイスト補正」として使うことで、全体の一貫性が得られる点です。イメージのぶれを抑え、狙った雰囲気のイラストに近づけるためには、方向性の明示が不可欠です。「これに似た雰囲気で…」という曖昧な思考を具体的なタグに翻訳するのが、画風タグの役割だとも言えるでしょう。
また、作品ジャンルによっても適切なタグは変わってきます。ファンタジー作品なら「oil painting」「concept art」など、少し重厚で物語性のあるスタイルが合いやすいです。逆にポップで軽快な印象を出したい場合は「flat color」「vector style」などの明瞭なスタイル指定が効果的です。
さらに、画風タグは「抽象タグ」と「具体タグ」に分類できます。前者は「cinematic」「detailed illustration」「storybook」などのようにざっくりした方向性を示すもの、後者は「manga panel」「sketch」「charcoal drawing」のように明確な描画技法を想起させるものです。初心者は具体タグから始め、徐々に抽象タグを重ねることで自然なコントロールができるようになります。
タグの組み合わせにもコツがあります。たとえば「anime screencap」と「saturated colors」「sharp shadows」など、同じ方向性を補強するタグを組み合わせると、より安定した出力が得られます。ただし、「manga panel」と「photo-realistic」など、相反する方向性のタグを同時に入れるとモデルが混乱することもあるため注意が必要です。
Stable Diffusion や NovelAI は、こうしたタグを解釈する際、学習データに含まれる画風の傾向に従って補間を行います。そのため、たった1つのタグでも出力全体のバランスが変わり、逆に想定と違う結果が出ることもあります。タグの意味だけでなく、「そのタグがどう学習されているか」というモデルの傾向も理解しておくと、より高度な調整が可能になります。
最終的には、どのタグがどう出力に影響するかは、自分で複数の例を比較して試すのが一番の近道です。画風タグは強力な方向性フィルターであり、作品の個性や完成度を決める要となるため、自分の理想とするスタイルを定め、それに合ったタグを少しずつストックしていくとよいでしょう。