AIによる画像生成において、「視点」はイラストの完成度を左右する重要な要素のひとつです。プロンプトを調整する際に、ポーズや衣装だけでなくカメラアングルにも意識を向けることで、出力結果に深みや臨場感が生まれます。
例えば「from above(俯瞰)」を指定すると、キャラクターを上から見下ろす構図となり、全体像や背景との位置関係が強調されるため、状況説明的な雰囲気を持たせたいシーンに向いています。逆に「from below(煽り)」は下からの視点になるため、キャラクターの迫力や威圧感を強調したいときに有効です。これらはマンガやアニメでもよく使われる演出手法であり、AI生成においてもタグとして反映されます。
他にも「over-shoulder(肩越し)」や「extreme close-up(超接写)」「dutch angle(傾斜構図)」など、映画的な視点も活用できます。特に「over-shoulder」は第三者視点のような距離感を演出し、会話シーンや回想的なイラストに向いています。こうした構図指定を行うことで、生成された画像の「語りかける力」が明確に変わります。
構図は視線誘導にも大きく関係します。「looking down」や「looking up」などのタグと併用することで、視点の方向だけでなくキャラクターの表情や心理的なニュアンスまで表現することが可能です。たとえば「俯瞰+目を伏せたキャラ」は、内向的な印象や控えめな感情を示しやすく、「煽り+見下ろす目線」は逆に支配的な態度やカリスマ性を強調できます。
Stable Diffusion や NovelAI などの画像生成モデルは、構図情報を暗黙的に解釈する能力を持っています。タグによって画面のレイアウトや被写体の位置が変化し、背景との一体感やバランスが調整されることもあります。たとえば、俯瞰で人物が立っている構図では、背景に広がりのあるフィールドや建物が描かれることが多く、画面全体の空気感までがコントロールされるようになります。
プロンプトの中で構図タグを1つだけ加えるだけでも、出力の安定性やテーマの伝わりやすさが大きく向上します。構図タグは画面の主題を補強する役割も果たしており、人物の感情や場面の演出に一貫性を与える効果があります。
また、構図タグと相性の良い他のタグを組み合わせるのも有効です。例えば、「from above」と「looking down」や、「from below」と「dramatic lighting」など、視線や光の演出を組み合わせることで、より完成度の高い絵作りが可能になります。ただし、あまり多くの構図タグを一度に入れると、モデルが混乱して中途半端な出力になることもあるため、シンプルに1〜2個程度で調整するのがベストです。
実際に複数の視点タグを比較して生成してみると、「視点を変えるだけでまったく違う世界観が表現できる」ことが体感できます。キャラの魅力を引き出すためだけでなく、物語性や構成の主張を明確にするためにも、構図タグは非常に強力なプロンプトパーツだと言えるでしょう。
さらに、特定のジャンルや用途に応じた構図選びも有効です。ファッション・ポートレート系であれば「waist-up」や「upper body」、ダイナミックなバトル風なら「extreme low angle」や「diagonal shot」など、ジャンルごとにマッチする視点があります。商用利用や同人誌向けにも、構図指定が作品の雰囲気を大きく左右することがあります。
こうした構図の調整をうまく活用することで、AIイラストの表現力は確実にワンランク上がります。生成結果の「狙った通り感」を高めたい人こそ、ぜひ視点タグを試してみてください。